法輪功:拷問と8,000マイルの逃亡

ある若い法輪功修煉者の信じられないような生き残るための旅
――なぜ、彼を押し潰そうとする政府の思いどおりにならなかったのか

生きるため、信念のための旅

 27歳の工場の労働者である覃永潔さんは法輪功の修煉者です。彼は船倉の中に潜み、中国からの何千マイルという距離を越えて、自分の足にある何ヶ所の火傷の苦痛を乗り越えて、中国当局による迫害から脱出しました。現在、彼はテキサス州のヒュ−ストンで無事に回復へ向かっています。

 覃さんは、法輪功修煉の放棄を誓約する書類にサインすることを拒否したため、今年四月より広東省の博羅県労働矯正所で監禁され、毎日殴られ、さまざまな拷問を受けました。「ある時など、労働矯正所の看守は、私の両手を監房の窓に手錠で繋げて5時間以上も彼を吊るすように立たせ、しかもそのとき私は裸足でした。手錠が外され監房に戻ったとき、私の手首は血に覆われていました」と彼は思い出を語りました。

 6月2日、三人の看守は再び覃さんを拷問し、彼に法輪功放棄を誓約する「懺悔書」にサインさせようと試みました。彼はなにも言わず、またサインも拒否したので、看守達は彼を柱に縛り、暖房炉で赤くなるまで熱せられた鉄の棒を彼の脚に当てました。この苦痛は大変なもので、彼は大小便を漏らしてしまいました。看守達は一定の間隔で計13回、この鉄棒で彼の脚の肉を焼き、その合間には毎回法輪功に対する信仰を放棄するかどうか彼に尋ねました。彼は頑として放棄しませんでした。ヒュ−ストン市の医師は「この火傷は非常に重く、筋組織にまでに及んでいました」と後になって明らかにしました。

 看守達はついにその拷問を止め、覃さんを外へ連れ出し、彼に果樹園を監視するように命じました。看守達は、重度の火傷を負った彼の脚は逃走に耐えられないと考え、彼に対して何の監視措置もとらずに彼をその場に残しました。この逃走を試みようとする勇気がどこから出てくるのか、覃さん自身にも分かりませんでした。果樹園の監視を始めてから二日目、つまり6月3日の夜、彼は一本の木の枝を杖として、重い火傷を負った脚でゆっくりとよろよろ歩き始めました。昼間は雑木林に身を隠し、野鼠が食べ残したサトウキビを食べ、夜になるとまた歩きはじめました。6月5日、彼はついにあるトラックに載って、労働矯正所――「地獄の牢獄」と彼は表現しています――をなんとか離れることが出来ました。

 その後、覃さんは豚肉を載せた列車に乗り込み、香港に向かいました。「自分は酷い火傷を負っているので長期間香港に滞在することはできず、もしかしたら捕らえられて強制送還されてしまうかもしれない」ということは彼も考え及びました。このため、6月10日、彼は少しパンと水が入っているプラスチックのかばんを持って、ある貨物船にこっそりと潜り込みました。彼は、化膿した傷口から来る絶え間のない痛みや船の揺れによる吐き気と2週間に渡って戦い続けました。「船倉は汚く、湿っぽくて真っ暗でした」と彼は話しました。「意識が混濁する中、私は、法輪大法の主たるテキストである≪転法輪』の文章を思い出すことで力を得ました」と彼は言いました。また彼は「もし私が法輪大法を修練していなかったら、生き残ることなど絶対に想像できなかったでしょう」とも言いました。

 彼は毎日厳しく節制して食料と水を口にしていましたが、最後の何日間かは食料と水がありませんでした。6月24日、船はカリフォルニア州ロングビ−チに到着しました。船から降りるのも、彼にとっては一つの戦いです。彼は突然日光に当たり気絶しそうになりました。その後、トラックを運転してフロリダに行く途中のお年寄りが、彼を自分の車に乗せました。覃さんはテキサス州ヒュ−ストンに着いたのですが、お金もなく、行く宛もありません。地元の警察は彼の存在に気付いて、彼に「希望の星」という救済所を紹介しました。

 6月13日、治療されていない彼の傷口は破裂し、彼はパークプラザ病院へと運び込まれ、広範囲の皮膚移植手術を受けました。医師は、覃さんがまだ生きていることは奇跡だと言いました。覃さんが中国労働矯正所で耐えた拷問のことを聞いて、バーブリッジ医師は、第3度の火傷から回復するときの苦痛も耐え難いものですが、「彼が今まで耐えたことは、これさえ比べようもない……一部の人間が他の人間に対してここまで残酷に接することができるというのは、驚くべきことだ」と言いました。

中国政権の使用する「再教育」という名の組織的な拷問の方法について

 覃さんの体験は決して単独の事件ではありません。8月4日のワシントンポストの記事によれば、中国共産主義政権は「法輪功を根絶する」ための方策を3つの方面から同時に進めているとのことです。3つの方面とは:暴力、高圧的な誹謗中傷のキャンペーン、集中的な洗脳です。この記事によれば、この三つの要素は一緒になると決定的であり、単独で用いたときには現われない「効果」があるとのことです。

 国中のいたる所にある労働矯正所と「再教育」クラスの中では、もちろん精神、肉体の両面に直接的な影響を及ぼす組織的な拷問の方法が用いられています。最近のABCニュースオンラインの報道によれば、「労働矯正所に拘禁されている中国人の半数近くが」法輪功修煉者だとのことです。ある政府高官はワシントンポストの記事を引用して、「惑わされなかった修煉者は一般的にはこの組織を捨てない」ことを認めました。拷問の目的は彼らの意志を捻じ曲げ、彼らに法輪功の「信仰を放棄」させ、「懺悔書」にサインさせることです。もし彼らがそのようにすれば、おそらく彼らは釈放のチャンスを得るでしょう。しかし、もし彼らがそうしなければ、拷問は、彼らが諦めるか、その過程で殺されるまで続けられ、しかも強化されていくでしょう。

「政府はわれわれの心まで変えることはできない」

 労働矯正所と洗脳クラスの外では、法輪功修煉者は、政府の一方的な誹謗中傷のキャンペーンを打ち破る独創的な方法を見つけており、おそらく、この方法は捕らえられている修煉者たちが受けている苦難を軽減できます。多くの警官が天安門広場にいるので、そこで何人かの法輪功修煉者たちが旗を広げて抗議しているとき、もっと多くの修煉者たちは、その代わりに、迫害の裏にある真実を暴露するチラシを印刷し、配っています。修煉者たちは、時々は大通りで大きなポスターと旗を張ります。彼らはさらに、労働矯正所の周りの建物の屋上或いは木の上、または人の多い地域でスピーカーを設置し、迫害の中で発生した人権侵害についてのニュースを放送しています。

 法輪功スポークスマン張而平は、抵抗は活発で、順調に進んでおり、「中国大陸の全ての修煉者が法輪功を放棄することを強要されているので、毎日多くの人が自分たちの信仰と精神の自由を命懸けで主張しています。しかし、こういった行為が、中国以外の国にいる人達が知ることの出来る範囲から外れているため、中国以外の国ではまだこれが認識できない。」と言った。

 若手ファッション・デザイナーであるリ・アミさんは、覃さんと同じく、何ヶ月か前に中国の迫害から逃げ出した人です。彼は「私の地元の広州では、ほとんどの修煉者は依然として確固とした意志をもっている事実を知っています。極限の苦難の下で法輪功を放棄した人でさえも、釈放されるとすぐに後悔し、元通り修煉し、また前より更に熱心となります。」と言いました。ワシントンポストの記事にも、学生のアレックス・スーさんは洗脳クラスで「放棄した」が、しかし、彼は続けて法輪功を修練することを選んだので、今は隠れていると書いてあります。彼は「『当局』はわれわれに嘘をつくことを強要しました。われわれは法輪功は良いと知っていますが、彼らはわれわれにこれは悪いものと強制的に言わせたのです」と言っています。

 リ・アミさんは、「覃さんの信じ難い旅は、強く自由な人間の精神は、何が出来るかを我々に提示しました。何があっても、中国政府はわれわれの心を変えることは出来ません。早くこのことに彼らが気付いて欲しい」と付け加えました。